アパート経営が人気になった理由と社会的背景
アパート経営が人気になった理由は?
アパート建設着工数は2015年からしばらくの間上昇しました。2017年後半からは勢いが陰ってきたものの、アパート経営を初めとする不動産投資への関心は最近非常に高くなっています。このアパート建設や不動産投資の盛況は、2015年の相続税の改正と関係があります。よく知られているように、相続税とは被相続人(財産所有者)が死亡した際に相続人に対して課税されるものです。日本の相続税は高いと指摘されますが、今回の改正によって相続税の増額が行われることになりました。そのため多くの方が節税対策の一環として不動産投資を始めました。
なぜアパートやマンションなどの不動産を購入したり賃貸として活用する事が節税になるかを説明します。相続税の対象となる財産は現金や有価証券だけではありません。土地も評価されて対象財産となります。しかしアパートやマンションが建てられた土地は、更地よりも評価額が下がります。つまり課税対象となる額が少なくなるということです。そしてその建物を賃貸物件として貸し出す場合、評価額はさらに下がります。この仕組みによって相続税は安くなります。
金融機関の融資も不動産投資を推し進めた
金融機関の融資の方向性もアパート経営が人気になった事に関係があります。これを踏まえて金融機関はリスクの低いアパート経営への融資を重視するようになりました。中小企業への融資に伴うリスクはアパート経営への融資リスクよりも高くなります。アパート経営の場合は土地が担保に出来る分安心感があるからです。このような金融業界の背景の元、アパート建設は活況を呈しました。
超低金利時代は投資への意欲をかき立てた
現在は「超低金利時代」とよく言われますが、この状況は一般市民への投資意欲をかき立てました。銀行に預金をしてもわずかな利子しか期待できません。そのため投資をする事でより効率的な資産運用を行いたいと思う方が増えるのは当然の話です。大した意味もなくお金を眠らせておくよりは、不動産経営を行って家賃収入を得る方が賢いと判断するわけです。さらに投資によって収入を増やすという行動は、公的年金への不安感とも関わりがあると言えるでしょう。先行きが不透明な年金制度への懸念から、不動産投資の収入によって老後の資金を得たいと願う人は少なくありません。
このようにアパート経営が人気になった背景には、相続税の増税、金融機関の融資リスクマネジメント、超低金利時代や年金制度への不安から来る投資熱などがあります。